コーヒー
元競技バリスタが教えるスペシャルティコーヒーの楽しみ方
2024-08-23T04:16:16.691Zに公開
2024-08-23T04:28:43.603Z
#スペシャルティコーヒー
<h2 id="h8d027c8ed3">はじめに</h2><p>私がバリスタをしていたのは5年ほど前でしたが、当時と比べてもスペシャルティコーヒーというものが年々日本の文化に定着してきているのを感じます。</p><p>特に都内にいると、もはやスペシャルティコーヒーを提供するのが当たり前と言わんばかりに高品質なコーヒーを提供するコーヒー屋(ロースター)が増えた印象です。</p><p>私は元々バリスタの競技会にも出場するくらいにはスペシャルティコーヒーに熱狂しており、スペシャルティコーヒーの素晴らしさを熱くお客さんに伝えることが使命だと思っていたのですが、</p><p>バリスタを辞め数年経ち、改めて自分自身のコーヒーとの向き合い方、楽しみ方みたいなものが変化してきたのを感じたので、このような場でご紹介できればと思います。</p><p>コーヒーはフルーティでないといけない、苦いコーヒーは悪、といったようなコーヒーギークたちの風潮に疲れてしまった人にこそ読んでほしい内容です。</p><h2 id="h5a36b232cb">スペシャルティコーヒーはスペシャルティではなくなるべき</h2><p>スペシャルティコーヒーという言葉は、コーヒーの品質に目を向けたとき、国際基準で高品質なものをスペシャルティコーヒーと呼びます。</p><p>逆にそうでないものをコモディティコーヒー、コマーシャルコーヒーと呼びます。</p><p>スペシャルティ、という名前の通り特別感がありますが、グローバル基準でもコーヒーという文化を成熟させるためには、スペシャルティ品質以外のコーヒー豆は存在してはならないと考えています。</p><p>過激な思想であることは重々承知していますが、この思想の根拠は下記のとおりです。</p><h3 id="h47efff1c01">他の飲み物文化に比べてコーヒーは品質の振り幅が大きすぎる</h3><p>お茶とコーヒーを比べてみましょう。</p><p>コンビニで買えるようなペットボトルのお茶と、缶のコーヒーを比べてみた時、飲み物としての品質は圧倒的にお茶の方が高いですよね。</p><p>数百円のワインとコモディティコーヒーを比べても、圧倒的に数百円のワインの方が品質は高いと思います。</p><p>このように、文化が成熟するということは、全体的な品質の振り幅が小さくなるということと言えます。</p><p>そういった意味でも、<strong>スペシャルティはいつまでも特別なものであってはいけなくて、スペシャルティ基準のコーヒーが当たり前になっていくべき</strong>だと思うのです。</p><h3 id="he234ed22b0">コモディティコーヒーはそもそも産業として倫理的でない場合が多い(らしい)</h3><p>よく語られることですし、私自身作り手と話した機会はそう多くないどころかスペシャルティの作り手としか話したことがないので、実感として話せるわけではないのですが、コモディティコーヒー産業は歴史的にみても正当な対価が支払われるものではないことが多いです。</p><p>コンビニでコーヒーが安く買えるのも、消費者としてはとてもありがたいですが、作り手に正当な対価を支払うことを考えると一杯千数百円とかでも全然高くないと思います。</p><p>とはいえ、産業としては大量生産のニーズもあるし、現状だとコモディティコーヒーがなくなることで流通するほぼ全てのコーヒーがなくなってしまう。</p><p>コーヒー業界の最大の問題と言っても過言ではない作り手への対価の問題ですが、少しでも多くの作り手に正当な対価が支払われ、大量生産的ではなく品質に目を向けたコーヒーの栽培が行われていくようにするためにも、消費者にとってスペシャルティ基準のコーヒーが当たり前の世界にするべきだと思うのです。</p><h2 id="hb56238131a">スペシャルティコーヒーの楽しみ方</h2><p>そんな思いを踏まえて、コーヒーラバーとしてどうスペシャルティコーヒーと向き合い、楽しむのが良いのでしょうか。</p><p><strong>気軽においしいコーヒーを飲んで楽しむ</strong>、これに尽きると思います。</p><p>フレーバーがどうとか、酸の質がどう、甘さや余韻やマウスフィールがどうとかは本当にどうでもよくて、もっと気軽においしいコーヒーを楽しめば良いと思うのです。</p><p>好きなコーヒー屋を見つけて、ふらっと立ち寄ってコーヒーを楽しむのもいいし、オンラインで有名どころのロースターの豆を買うなりなんなりして自宅で楽しむのも最高です。</p><p>肩の力を抜いておいしいコーヒーを楽しんでいるうちに、気付いたらもっとコーヒー文化が成熟して、当たり前においしいコーヒーであふれるような世界になったらいいですね。</p><h2 id="h9be0c3393d">おわりに</h2><p>元々熱狂的なスペシャルティコーヒー信者だった私ですが、熱狂的な部分はある程度残しつつも、もっと肩の力を抜いてコーヒー楽しもうよ、というお話をさせていただきました。</p><p>スペシャルティーコーヒーは素晴らしいコーヒーで、豊かなフレーバーや質の良い酸、甘さ、マウスフィール、余韻、バランスの良さを楽しむのは素敵なことですが、小難しく考えずなんとなくおいしいな〜が一番だなと今は思います。</p>